特定非営利活動促進法の改正における貸借対照表の公告について平成30年の対応
全国のNPO法人の参考になるように、この記事を平成30年春に作成し、注意喚起させていただきましたが、平成30年の9月となっても、定款の変更やそれに伴う都道府県への届出を行わず、まったく手付かずのNPO法人の方々がいらっしゃるようです。
なので、今一度、喚起し、呼びかけます。
定款を読み直し、ご対応いただきたく思います。
この手続きを行わない場合、過料(罰金みたいなもの)が科せられる場合があります。
こむずかしいようですが、これにより全国の何割かのNPO法人に罰金が処せられる事態になるかもしれないのです。
<経緯>
平成28年6月 特定非営利活動促進法が改正され、平成29年4月1日から施行された。
今までは、組合等登記令に基づき、法務局において資産の総額の登記を毎年変更することが義務づけられていたが、その変更登記が不要となるかわりに、毎年貸借対照表の公告を行うことが義務づけられた。
てっとりばやく理事や会員に説明するための定款変更と諸手続きの必要性の理由
NPO法人の事務負担軽減のための特定非営利活動促進法の改正が平成28年6月にあった。
この施行が平成30年10月からである。
事務負担軽減の内容は、毎年、年度末後の資産の総額の変更の登記を廃止し、その代わり、法人自らが貸借対照表を公告すればよくなったということ。
ただし、公告の変更を行うためには、そのことが明記されている定款の変更が必要。
定款を変更するためには、総会での決議が必要。
10月の直前にこのことだけのために臨時総会を開催してもよいが、それは面倒くさい。
なので、春の定期総会で定款の変更の決議してしまおう。
平成30年9月時点でこの記事を見た方へ
対処されていないNPO法人の方は、すでに緊急事態です。
変更した定款を作り、臨時総会を開催し、これを議決した臨時総会議事録を作り、署名人の判子をもらい、その他、書類を揃え、即刻、東京都へ直接届けるか、または郵送しましょう。
改正のポイント
法人自らが貸借対照表の公告を行うことで、毎年の変更登記申請が不要となる。
法人の事務負担軽減のための改正。
定款に公告方法の明記が必要となるため、総会で議決の上、定款の変更について、東京都に「定款変更届出書」を提出する必要がある。
公告方法を選ぶ
1官報に掲載
2時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に 掲載
3電子公告(法人のHP等)
4不特定多数の者が公告すべき内容である情報を認識することができ
る状態に置く措置がある。
公告方法は定款で定める必要がある。
Q.いつ時点の貸借対照表から公告が必要となりますか?
A. 平成30年10月1日以後に作成する貸借対照表が対象となります。
ただし、平成30年9月30日以前に作成した貸借対照表で直近のもの(特定貸借対照表) についても公告する必要があります。
この場合、1施行日(平成30年10月1日)までに公告 するか、2施行日以後遅滞なく公告する必要があります。
Q.既に定款で公告方法を定めている場合、定款変更は必要ありませんか?
A. 既に定款で定めた公告方法に変更がない場合は、貸借対照表の公告もその方法で行っていただくこととなります。例えば、定款に「この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、 官報に掲載して行う。」と規定されている場合は、貸借対照表についても掲示場への掲示と官報掲載が必要となります。 貸借対照表の公告を、現行定款で規定されている方法とは別の方法とすることは可能であり、 その場合は定款変更が必要(注)となります。(例えば、上記の法人が電子公告を選択する場合)
以上が資料の抜粋(内閣府、東京都等)
まとめと対処方法の案
法改正によりすべてのNPO法人に貸借対照表の公告を行う義務が生じた。
平成30年10月1日までに公告せねばならない。
公告の方法の中で、簡便だと思われるものは、法人のホームページで公告する方法、または、内閣府 NPO 法人ポータルサイト等を利用する方法である。
官報による方法はコストが必要。
ところで、公告の方法は定款に記載されている。
(公告の方法)(多くのNPO法人の現行の定款)
第55条 この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、官報に掲載して行う。
官報で公告をすることを継続するのであれば、このままでよい。
しかし、他の方法を選択するのであれば、この現行の条文を新しく変更せねばならない。
【記載例1:法人のホームページを選択する場合】
(公告の方法)
第○条 この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、官報に掲載して行う。
ただし、法第 28 条の2第 1 項に規定する貸借対照表の公告については、 この法人のホームページに掲載して行う。
【記載例2:内閣府NPO法人ポータルサイトを選択する場合】
第○条 この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、官報に掲載して行う。
ただし、法第 28 条の2第 1 項に規定する貸借対照表の公告については、 内閣府NPO法人ポータルサイト(法人入力情報欄)に掲載して行う。
※「官報に掲載して〜」は削除できない。
解散の場合は、必ず、官報に掲載しなくてはならないことが、削除できない理由。
法改正への対応手順
(多くのNPO法人の場合)(事業年度が4月はじまり、3月決算のNPO法人の場合)
平成30年春より10月までの対応手順
1.新定款の作成と新旧対照表の作成
2.理事会にて検討し、総会での議案の付議をする。第○号議案等とする。
3.総会にて定款変更の議案の議決
4.定款変更の議決が記載された議事録の作成
総会以降
5.東京都へ書類を提出
(1)定款変更届出書(第5号様式)
(2)新旧対照表(書式第19号)
(3)変更後の定款
(4)定款変更を議決した社員総会の議事録の謄本(書式第20号又は第21号)
6.平成29年4月から平成30年3月までの決算にともなう貸借対照表については法務局において登記が必要。
平成30年度以降の決算は登記が不要になる。
7.平成30年10月までに上記で選択した方法により公告を行う。
(団体のホームページの場合、その年度の貸借対照表は5年間継続して公開する)
これらの手順の根拠(多くのNPO法人の定款)
第○○条 理事会は次に掲げる場合に開催する。
(○○)代表理事が必要と認めたとき。
第○○条 理事会は、次の事項を議決する。
(○○)総会に付議すべき事項
第○○条 総会は、以下の事項について議決する。
(○○)定款の変更
東京都ホームページより
定款変更の届出(認証が不要な事項の変更の場合)
所轄庁の認証が必要な事項以外の事項に係る定款の変更については、定款変更の議決がなされたら、遅滞なく、東京都に「定款変更届出書」(第5号様式)を提出しなければなりません。
届出に必要な書類
提出部数
(1)定款変更届出書(第5号様式)
(2)新旧対照表(書式第19号)
(3)変更後の定款
(4)定款変更を議決した社員総会の議事録の謄本(書式第20号又は第21号)
東京都以外の方でも同様です。都道府県等と読み替えてください。